長時間のマスク着用で頭痛がする

コロナ禍の社会情勢下で、ほぼ一日中マスクを付けています。そのためか、慢性的な頭痛に悩まされています。以前は頭痛とは無縁でした。ついつい市販の頭痛薬を服用してしまいます。

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マスクを長時間着用していると、耳がゴムひもにより引っ張られることにより、耳たぶまわりの緊張が起こります。それが頭部や首肩に連鎖して頭痛を引き起こします。また、息苦しくなることに加え、常に口の周りを布が覆っているという圧迫感、さらには長く続くコロナ禍のストレスなどにより頭痛が起こりやすくなっていると考えます。コロナ禍前には頭痛にほとんどならなかった方でも、必然的に頭痛になるリスクは高くなっています。

頭痛のおきている際に、一時的に頭痛薬を服用して痛みを取ることは非常に有効ですが、毎日複数回服用することが続いているようでしたら、副作用や依存症のリスクが高くなっている考えられます。そのような場合には医療機関への受診も検討されると良いかもしれません。

当院に来院される方の症状でも、マスク着用由来の頭痛はわりとあると感じています。適切な頭痛薬の服用だけでなく、鍼灸治療で身体の緊張だけでなく精神の緊張もリラックスさせることにより、頭痛は大きく軽減される可能性があります。

かかとが痛くてフットホールドに踏み込めないどころか、クライミングシューズを履くこともできない

クライミングジムでボルダリングしている間、ずっとクライミングシューズを履きっぱなしでいたら、だんだん踵のヒールカップのふちが当たる部分が痛くなってきた。最初はそれほどでもなかったのだが、痛いのを我慢して履き続けていたら、クライミングシューズを履いて踏み込むどころか、フットホールドに立つことができなくなってしまった。クライミングシューズを履くだけで踵が痛くなります。

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関節周辺の靭帯周辺には動きを滑らかにし、衝撃を吸収するためのクッションの役割をはたす「滑液包」と呼ばれるものが存在します。

通常痛くなることはありませんが、ヒールの高い靴を履く、きついクライミングシューズを長時間履き続ける、などすると、踵のアキレス腱が付着する部分(靴のヒールカップが当たる部分)の滑液包が長時間圧迫され続けて、炎症を起こしてしまいます。こうなるとヒールの高い靴を履いて歩いたり、クライミングシューズを履いてつま先立ちする動作が痛くてできなくなってしまいます。

炎症による痛みなので、1週間から3週間ほど原因となるヒールの高い靴を履かない、クライミングシューズであれば紐を締めない、長時間履かない、ゆるい靴にする、いっその事運動靴などでクライミングする、などの対策をとると、機械的な刺激が減るので自然に炎症が治まります。

ある程度の時間が経過しても痛みが治まらない場合、スニーカーなど普通の靴を履いていても踵に痛みを感じたりする場合には、鍼や灸は炎症を速やかに抑える効果があるのでぜひ試してみてください。

クライミングで膝の内側が痛くなった

クライミングジムで登った後に、右膝の内側が痛くなり歩行も困難になったために来院。来院時には1週間ほど経過していたので、痛みは少なくなっていたが、足を高く上げて乗り込む動作をする事や、歩行時に足が着く時の衝撃で痛くなることは改善しないために来院。

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クライミングで膝の内側が痛くなる時というのは、原因として大きく分けてドロップニー(キョン)とハイステップ、ボルダリングでの着地が考えられます。

15年程前、「キョン」というムーブをクライミングジムでする人が多く見られたのですが、石灰岩のルートを登る人よりも花崗岩のボルダーをする人が多くなったためでしょうか、最近はほとんど深いドロップニーをクライミングジムでする人を見ることはなくなりました。代わりに、高い足に乗り込む「ハイステップ」というムーブをする人はよく見られます。

膝に限ったことではないのですが、関節を目一杯曲げた状態で力を入れるとかなり無理な力が関節にかかり、その結果軟骨が損傷します。そして、軟骨の損傷は容易には回復せず、痛みや炎症が長引くことになります。

当院で出来る治療としては、他の関節の障害の時と同じく、消炎鎮痛効果が期待できるので鍼、もしくは灸治療をすることをお勧めしています。また、繰り返しになりますが、筋肉が硬直しているために腰のひねり動作、背中を反らす動作ができないと力が発揮できないので、その分関節を深く曲げて力不足をなんとか補おうとします。クライミングジムで観察してみると分かりますが、次のホールドが取れなくて苦し紛れに膝を内側に入れてクネクネした動きをする人が結構いますが、これは上達の妨げになるだけでなく膝に大きな負担をかけるため、必要な時以外に膝を過剰に内側に入れることはお勧めできません。(関節に負担をかけないよう膝を内側に入れるのは難しいので、きちんとした知識のある人に教えてもらった方が良いでしょう)

クライミングジムは実際の岩に比べてフットホールドが大きいので、簡単に膝を深く曲げる体制になれてしまうため、かなり注意しないとすぐに障害が発生する傾向にあるようです。

関節の炎症は筋肉の疲労とは違うので、複数回の治療が必要な場合が多くあります。この方の場合にも、1回目で関節の痛みはある程度引きましたが、足圧治療も含めて3回ほど続けて治療しました。症状が治まっても、関節を深く曲げて登ればまたすぐに痛くなるので、曲げなくても済むような登り方のアドバイスをして膝の治療は終了しました。腰、背中の疲労が遠因となることがほとんどなので、症状がなくとも、月1回ほどのコンディショニングをお勧めしています。

クライミングで膝の外側が痛くなった

クライミングジムで登った後に、右膝の外側に違和感を感じ、翌日には痛みが増してきた。それから2週間程経過したが、改善しないために来院。

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クライミングで膝の外側が痛くなるのは、ほとんどの場合ヒールフックが原因です。関節はその種類によって可動範囲が決まっています。膝関節の場合には、屈伸の動作しかできず、左右には曲がりません。

関節が痛くなるのは使い過ぎ、もしくは、不合理な使い方をした場合です。ヒールフックは踵を臀部に近づける動きですが、この動きに膝を押し下げて体を引き上げる動きをプラスすると膝関節の外側に過剰な力が加わり、炎症と痛みが発生します。体を上に上げて行く時、どこの力を使うかによって体を痛めるのかそうでないのかが決まります。

炎症の緩和には鍼灸治療を、背部、腰部、大腿部の筋力が過緊張により力を発揮できなくなっていることに対しては足圧の治療をすることにより、脚力のみに頼る登り方を次第に変化させることができます。

この方の場合には上記に加えて、体の左右の緊張度の違いを見て、それに応じて普段の登り方を改善してゆくアドバイスをいたしました。(実際に登るところを見なくても、筋肉の状態により概ね普段の登りかたの予測がつきます)

クライミングで肘の内側が痛くなった

ボルダリングを始めて3年程経ちます。最近になり、慢性的な指の痛みにくわえて両腕の肘が痛くなってしまい、体を上に上げようとすると肘の内側が痛くて登れません。日常生活には支障はありません。

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肘だけではなく、関節が痛いときの対処法として

1.その原因となっているスポーツをする時間を減らす
2.痛みの出ている部分の炎症をとるような治療を受ける
3.痛くなる原因となる不合理な動きを合理的なものに変える

が大きな原則となります。

1、2についてですが、2、3週間完全にその運動を中止するようにお勧めする場合、運動時間は減らさずに、痛みの原因となる動きのみを行わないようにして頂く場合などがあります。運動を完全に中止したところで痛みが治まらない場合が多いのですが、痛みが激しい場合には中止してなおかつ、鍼灸などを含めたケアを取り入れないと痛みが改善することはありません。さもなくば、運動を再会したら痛みも再発します。

加えて、3についてですが、一般的なコンディショニングやケア、治療等と共に重要なのは動きを合理的なものに変えてゆくことです。人体は運動に関わる骨と筋肉のみに着目すると、複雑な機械と考えることが出来ます。機械としてみてゆくと、おのずと効率の良い使い方と効率の良くないがあることになります。クライミングに関しては実際に登っているところを拝見しなくとも筋肉の状態や関節の可動範囲を診るだけでほとんどの動きの癖がわかりますので、それに応じて効率の良い、なおかつ痛みの出にくい動き方をアドバイスしていくことが可能です。

この方の場合には、背中を丸めたまま、肘を強く曲げて登っているいることがわかりましたので、登るときに肩甲骨と肘を後方に動かすことを意識するようにお伝えしました。肩甲骨の可動範囲を広げるための足圧に加え、肘の内側の炎症を鍼で除去しました。クライミングを中止するようにとまではお伝えしていません。

クライミングで肘の外側が痛くなった

20代の頃からクライミングを続けています。スポートクライミングだけでなく、昔からクラッククライミングもしています。どのような時というのがうまく説明できないのですが、特定の動きをすると肘の外側が痛くなってしまうので、体を引き上げるどころではありません。クラッククライミングでもクライミングジムでのボルダリングでも同様です。

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肘の外側が痛くなってしまうのは、テニスで言うところのバックハンドテニス肘にあたります。前腕を外側に向かって回転させる「回外」という動きを多用すると、肘の外側が痛くなります。親指と人差し指で買い物袋や椅子を持ち上げる動作でも痛みが出ます。

ボルダリングで言えば、肘が少し開いた状態でショルダームーブ(ガストン)をし過ぎたり、クラッククライミングで言えば、逆手のハンドジャムのし過ぎによるところが大きいです。脇をしめるような動き、順手のハンドジャムでは外側が痛くなることはほとんどなく、内側が痛くなります。

確認してみたところ、確かに思い当たるところがあるようでした。痛みのある部分というのは、誰かに確認してもらったり、注意深く自分の体に意識を向けないとはっきりしないこともあるので、簡単なムーブをするときに体をどのように使っているか意識してみることをアドバイスいたしました。

どんなに効率的で合理的な動きができていても、同じ動きを繰り返せば必ず障害が発生します。個々の動きを改善するだけでなく、様々な動きをバランス良くできるようにすることもとても大切です。

治療自体はオーソドックスなものです。関節の痛みには鍼をして炎症を抑え、足圧で背部と胸部を中心とした柔軟性を取り戻し、全身の筋肉の協調性を回復させます。

猫背を整体で直したい

趣味でクライミングを3年ほどしていますが、ここ最近手首が痛くなり、次第に肩まで痛くなってきてクライミングをするどころではなくなってしまいまい、現在は登っていません。よく猫背といわれます。そのためかどうかはわかりませんが、仕事中も肩こりが以前よりもひどくなり、背中の疲れも抜けません。猫背を直すことは可能でしょうか?

デスクワークで1日中パソコンの画面を見て仕事をしています。慢性的な肩こりと腰痛があり、とてもつらいです。仕事が終わった後も、背中や肩、首の緊張が取れず、背筋を伸ばすことが大変で、すぐに体が丸まってしまいます。姿勢を良くしたいのですが、なんとかならないでしょうか?

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上記の方はどちらも、いわゆる「猫背」の状態です。それぞれ、上腕骨頭が内側に回転しまういわゆる「巻き込み肩」という状態、パソコンのディスプレイを凝視する作業を長時間にわたってこなすことにより、背中や腕の疲労が蓄積して背筋を伸ばすような動作が難しくなってしまっている状態です。人間は体の前面の筋力のほうが強いので、疲れてくると体が丸まって猫背の姿勢を自然と取ってしまいます。

この場合、無理やり骨格矯正のみをしても、筋肉の収縮力はとても強いので直ぐに元に戻るばかりか、体に負担が大きく好ましい方法ではありません。背中の筋肉を緩めることはもちろん、胸部と腕をつなぐ大胸筋、小胸筋の緊張を緩めることも必要です。

マッサージが良いのか、足圧が良いのか、鍼灸が良いのか、適切な手段を選んで施術します。

つわりがひどくて起きるのもつらい

妊娠して2ヶ月になりますが、つわりがひどくて困っています。吐き気がひどくて食欲もなく、ほどんど何も食べられません。起きているだけでつらいので、家事をするのもままなりません。妊娠の経過には問題なく、妊婦検診でも異常は見つかっていません。

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つわりは妊娠初期に見られる症状です。どんなに辛くても安定期に入ると、大抵の場合は自然と症状は消失していきます。待っていれば症状がなくなるとわかっているとはいえ、我慢しているのはつらいことです。

つわりのつらさは個人差が大きく、まったくない方、安定期に入ってもつわりの続く方、2人目3人目になると軽くなる場合、逆に重くなる場合など様々です。冷えがあり、循環不全、慢性的に肩こりなどをお持ちの方がつわりがひどくなる傾向があるようです。この場合、内臓が冷えて(特に肝臓と腎臓)いる場合には、外部から温めただけではつわりはあまり改善しません。鍼灸治療によって、気血や経絡の流れを整えると、自然と症状が和らぐことが多くあります。

つわりはいわゆる「病気」ではありませんので、「治療」するものではありません。しかし、どんなに健康な人でも、起こる妊娠の一部です。つわりという嵐をある程度落ち着かせて、寝込んでしまうほどにならないような状態にすることは必要なです。その場合、鍼灸治療はお役に立ちますので、ご相談ください。

パーキンソン病で震えがとまらない

1年ほど前から、じっとしているときに手が震えるようになって、最近になり段々ひどくなってきた。このごろは歩き出そうとするとなかなか最初の一歩が踏み出せず、苦労します。パーキンソン病の薬を飲み始めてからは便秘がちになりました。以前からある肩こりがひどくなってしまい、めまいも頻繁に起きるようになってしまいました。

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パーキンソン病は脳の組織が変性する事が原因で、運動機能の障害を引き起こします。じっとしていると体が震えてきたり、動き出すのがつらくなります。また、自律神経障害を伴うので便秘や肩こりも同時に起こってきます。薬の副作用で口が回りづらくなったり、便秘がちになってしまうこともあります。

鍼灸治療は自律神経の調節をすることが出来ますので、パーキンソン症状を抑えることもある程度は出来ます。ただ、この場合は「治療をしなくてもいい状態まで回復する」というよりも、症状の出方を押さて薬の量が増えないようにしたり、薬の副作用を軽減を目的として治療を行っていきます。

病気の進行度にもよりますが、週に1から2回ほどの治療で症状がひどくなるのをある程度押さえることができるので、QOL(生活の質)を高めることもです。

また、歩行や外出が困難な場合は健康保険を使用して往診も受けられます。

出産後に骨盤が開いて腰が痛い

産後3ヶ月です。初めての出産で、経腟分娩で出産しました。とくに疲れやすくなったということはないのですが、体の傾きを感じることが多くなました。骨盤が開いて腰回りが太くなったためか、ズボンがきつくなってしまいました。肩こり、腰痛も慢性的にあったのですが、出産前よりもひどくなったような気がします。

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持って生まれた体力は、個人差がかなりあります。出産前から体力のある方に多いのですが、「気」(エネルギー)は足りているが、うまく回っていない「気滞」という状態です。気が足りている時には肩こり腰痛になると筋肉が硬くなってきますから、体を最適な施術によりやわらかくするのがよいでしょう。産後の骨盤の歪みは自然と元に戻るものですが、筋肉が硬くなっていたり、無理な負荷をかけると後々に引きずってしまうことがあります。足圧などで調整することにより、骨盤が締まってきて出産前の状態に戻ります。